
院長:田口お気軽にご相談ください!
ある朝、目が覚めたら片耳がふさがったように聞こえない。そんな経験をされた方に、ぜひ読んでいただきたい記事です。
病院でステロイドの点滴を受けながらも、「自分でできることはないか」と毎晩スマホを手にして調べている方も多いのではないでしょうか。
実は、突発性難聴の回復に向けて、毎晩の眠り方や体の向きが思いのほか大きな意味を持っている可能性があります。今回は枕の選び方から体の向き、そして病院ではなかなか語られない「首と内耳の関係」まで、当院の視点でじっくりお伝えします。


祖父の難聴をきっかけに、開院以来ずっと突発性難聴について独自に研究を続けてきました。姿勢や首・鎖骨まわりの筋肉緊張との関係は、私が特に注目してきたテーマのひとつです
突発性難聴の主な原因のひとつに、内耳への血流障害があります。内耳は非常に精密な器官で、わずかな血流の変化にも敏感に反応します。1日の約3分の1を占める「眠っている時間」に体がどのような姿勢に置かれているかは、この血流にとって決して無視できない問題なのです。
治療中の方にとって、夜の睡眠は体が最も深く回復できる時間です。せっかく病院で治療を受けていても、眠り方が原因で内耳への血流が妨げられていたとしたら、もったいないと思いませんか。
眠り方を少し意識するだけで、回復を後押しできる可能性があります。まずはその理由を、ひとつずつ確認していきましょう。
首まわりには、内耳へ向かう血管や神経が密集して通っています。首の筋肉に緊張があると、この通り道が狭くなり、血液や神経の信号が届きにくくなることがあります。
昼間に蓄積された疲れや緊張が夜まで持ち越されてしまうと、横になっていても体はなかなか回復できません。眠り方を整えることは、この悪循環を断ち切るための一歩になり得ます。
突発性難聴で治療中の方から最もよく聞かれるのが「どちら向きに寝ればいいですか?」という質問です。これについては当院でも明確にお伝えしていますし、多くの専門家も同様の見解を持っています。横向きで眠る場合は、症状のある耳(患側)を必ず上に向けて寝ることが基本です。
患側の耳を下にして眠ると、耳の周辺の血管が物理的に圧迫されてしまいます。内耳への血流がすでに低下している状態で、さらに重力による圧迫が加わることで、症状が悪化するリスクが高まります。
めまいを伴っている方は特にご注意ください。患側を下にした状態で長時間眠ることで、翌朝のめまいや耳の詰まりが強くなるケースも少なくありません。
横向きで眠ることに慣れていない方には、仰向け寝もおすすめです。体重が均等に分散されるため、特定の部位への圧迫が生じにくく、首や肩への片側からの負担も避けられます。
ただし仰向けの場合も、枕の高さには注意が必要です。枕が高すぎると頭が前傾し、首の後ろ側の筋肉が伸びたまま固まりやすくなります。逆に低すぎると首が後ろに反り、前側の筋肉に過度な緊張が生まれます。それぞれの体に合った高さや形状をよく吟味してください。
首の自然なカーブ(生理的前弯)が保たれる高さの枕を選ぶことが、睡眠中の首への負担を最小限にする上でとても重要です。
横向きで眠る場合、耳から肩にかけてのラインが床と水平になる枕の高さが理想とされています。この角度が保たれることで、首や肩まわりの筋肉がもっともリラックスしやすい状態になります。
枕が合っていないと、朝起きたときに首がこわばっていたり、肩が重かったりすることがあります。これは睡眠中も筋肉の緊張が続いていたサインです。突発性難聴の治療中は特に、枕の見直しを意識していただきたい点です。
ここからは、当院が開院以来独自に研究を続けてきた視点をお伝えします。病院では語られることの少ない話ですが、多くの方の回復に向き合ってきた経験から、自信を持ってお伝えできることがあります。突発性難聴を抱えてご来院される方の体を詳しく検査すると、ほぼ共通して首や肩・鎖骨まわりの筋肉に強い緊張や歪みが見られます。
この筋肉の緊張が、内耳へ向かう血管を日常的に圧迫している可能性があるのです。
デスクワークやスマホ操作で頭が前に出た姿勢(いわゆる「スマホ首」)を続けていると、首の後ろ側の筋肉が引き伸ばされたまま緊張し続けます。この状態が慢性化すると、頸椎の自然なカーブが失われていきます。
頸椎のバランスが崩れると、そこを通る血管や神経への圧迫が生じやすくなります。内耳はこの血流の影響を直接受ける器官であるため、姿勢の問題が耳の症状に直結することは十分に考えられます。
眠り方を整えることも大切ですが、起きている間の姿勢そのものを見直すことが、より根本的な改善への一歩になると私は考えています。
夜、布団に入ってからスマホを操作する習慣のある方は多いと思います。しかし首を前に傾けた状態で画面を見続けることで、首の後ろ側の筋肉に強い緊張が生じます。
この緊張が睡眠中も続いてしまうと、横になっていても首の筋肉がほぐれにくくなります。突発性難聴の治療中はとくに、就寝1時間前にはスマホを手放す習慣をつけることを強くおすすめします。
内耳への血流に影響するのは姿勢だけではありません。眠る環境そのものも、回復のスピードを左右します。自律神経のバランスが内耳の血流に直接かかわっているためで、副交感神経が十分に優位になれる環境を整えることが、内耳の回復を助けることにつながります。
騒がしい環境や明るすぎる部屋では、交感神経が刺激され続けて体がリラックスしにくくなります。寝室をできるだけ静かで暗い状態に整えることを意識してみてください。
入浴後30分〜1時間は体温が高まり、その後ゆるやかに下がっていくタイミングで眠りやすくなります。このリズムを活かして就寝時間を決めると、深い眠りに入りやすくなります。
また、寝る直前の飲食や激しい運動は交感神経を高めてしまうため、避けることをおすすめします。深呼吸や軽いストレッチなど、体をリラックスさせる習慣を取り入れることで、副交感神経が優位になりやすい状態に整えていきましょう。
突発性難聴は医学的に「原因不明の急性感音難聴」とされており、その原因の特定は簡単ではありません。しかし当院では、5種類の独自検査によってお一人おひとりの体の状態を多角的に確認し、姿勢の歪みや首・肩・鎖骨まわりの筋肉緊張、自律神経のバランスなど、病院ではアプローチしにくい部分にも目を向けていきます。
「ステロイド治療でなかなか効果が感じられなかったが、姿勢を整えるアプローチを取り入れたその日の夜から変化があった」というお声を、当院ではいただいています。病院の治療と並走しながら、体の根本的なバランスを整えることが、回復への最短ルートになると私は考えています。
突発性難聴は、対応が早ければ早いほど回復の見込みが高くなります。眠り方や姿勢を意識することは、薬に頼らずに自分の体を助けるための大切な一歩です。しかしその一歩が正しい方向に向いているかどうか、自己判断だけでは確かめにくいこともあります。
何が原因でその症状が起きているのかは、人によって異なります。だからこそ、検査で体の状態をきちんと確認した上で、その方に合ったアプローチをとることが大切なのです。
私自身、祖父の難聴をきっかけにこの症状と向き合い続けてきました。「もっと早く知っていれば」という後悔をする方を一人でも減らしたい、そういう思いで日々の施術に向き合っています。一人で抱え込まず、気になることがあればいつでもお気軽にご連絡ください。

